このページを印刷する

港工場

画像:港工場全景都市ガスの製造を担う港工場は、仙台市の最東端(宮城野区港)にあり、天然ガスを原料とする都市ガス(13A)を製造しています。地球環境に配慮した港工場は、平成9年6月に操業を開始しました。平成23年3月11日に発生した東日本大震災の津波により、甚大な被害を受けましたが、平成24年3月全面復旧しました。復旧にあたり、主要な設備は大規模地震や津波、台風などによる災害にも耐えられるよう対策を講じました。

 

都市ガスの製造過程

① 都市ガスの原料、液化天然ガス「LNG」の受け入れ

画像:アンローディングアームLNG受入設備には、タンカーと陸側の配管を接続するため、腕のように自由に動くアンローディングアームというものを設置しています。太さは約28cmでアームを伸ばすと全長15mにも達します。
アームは3本あり、陸側へのLNG受入はこの内2本のアームを使用し、残りの1本で陸側から船側にガスを送り返します。

なぜ、船側にガスを送り返すのか?

船側タンク内のLNGが少なくなると、タンク内の圧力が減少し、最後には凹んでしまうからです(パックジュースをストローで思いっきり吸うと、パックが凹みますが、それと同じ理由です)。そのため、陸側から船のタンク内へガスを送り返し、圧力が減少するのを防いでいるのです。

画像:受け入れ作業アンローディングアームは職員がラジコン操作し、船の配管に近づけます。それと同時に別の職員がすばやくボルトで配管を固定します。船は常に揺れているので、アームと船側配管をピタリと合わせるのには、技術を必要とします。
アームを接続した後にLNGを受け入れます。受入量は約2,400kl/hで、受入には約8時間を要します。 

 

② 液化天然ガス「LNG」の貯蔵

画像:LNGタンクLNGは地下式のタンクに貯蔵します。地表からは屋根だけが見える状態です。地下式のメリットは、景観が良いこと、地震などでタンクが破損しても地表にLNGが流れ出ないことなどです。LNGタンク地表面の大きさは、直径60m、高さ15mの円形となっています。深さは28mあり、タンクの下は厚さ5m以上のコンクリートによる強固な基盤になっています。タンク内のLNGはマイナス160℃と非常に低い温度のため、タンク周りの地下水が凍ってしまい、タンク全体が霜柱のように浮き上がってしまう可能性があります。そのため、タンクの周りに温水を流し、地下水の凍結範囲を管理しています。 

③ LNGタンクから発生するガスの処理

画像:BOG圧縮機LNGの主成分であるメタンの沸点はマイナス162℃と非常に低い温度のため、自然界の温度においてLNGを保管すると、メタン成分が気化しBOG(ボイルオフガス)が発生します。
LNGタンク内では常にBOGが発生しており、このBOGを抜かないと、タンク内の圧力が上昇し、タンクを壊してしまいます。そのため、発生したBOGはBOG圧縮機によって、都市ガス原料の一部として利用しています。

  

④ 液化天然ガス「LNG」の気化

画像:オープンラック式ベーパライザー(ORV)、サブマージド式ベーパライザー(SMV)、内部の様子(ORV)LNGを元の気体に戻す設備を気化器と呼びます。気化器には「オープンラック式ベーパライザー(ORV)」と「サブマージド式ベーパライザー(SMV)」があります。通常はORVを使用し、緊急時等にSMVを使用します。ORVは、LNGが通る配管に海水をかけて気化させる設備です。気化器に入るLNGはマイナス160℃のため、海水は気化させるための十分な熱源となります。
SMVは、バーナーで温められた温水中にLNG配管を通し、LNGを気化させる設備です。温水が入っている槽のことを「バス」と呼びます。

 

 

 

 

 

 
 

⑤ 熱量調整

画像:LPGタンク、熱調設備天然ガスは、採掘場所等によって成分が少しずつ異なるので、「液化石油ガス(LPG)」を加えて熱量が一定になるように調整します。ガス局のガス熱量は45MJ/m3Nで全国のガス事業者の多くがこの熱量を採用しています。

 

 

 

 

 

⑥ 付臭

画像:付臭室内天然ガスは無色無臭のため、万が一ガスが漏れた場合、すぐ気づくように嫌な臭いを付けています。臭いは、都市ガスが漏れた際に空気中の1000分の1の割合でも感知できるような臭いにすることとなっています。
臭いを付ける設備は密閉した付臭室に設置してあり、外部に臭いが漏れないよう万全の対策を整えています。

  

⑦ 都市ガスの貯蔵

画像:港工場ガスホルダーできあがった都市ガスを貯めておく設備が「ガスホルダー」です。ガス局のガスホルダーは、球形を採用しています。
球形は外部からの衝撃や内部圧力を均等に分散する等、一定容量の気体を貯蔵するのに最も合理的な形とされています。
ガスホルダーはガスの需要が少ないときには貯めておき、多いときには送出するようコントロールしており、都市ガスの安定供給のため、供給区域の複数箇所に設置し、効率的な稼動を図っています。

 

 


 

 

製造監視システム

都市ガスを製造する量は、お客さまの使用状況や季節・時間などによって大きく違います。
例えば、水温が高い夏場はお湯を沸かしても短い時間で済みます。つまり沸かすためのガス量は少なくて済みます。反対に水温が冷たい冬場は多くのガス量が必要になります。
このように、季節や時間などで送出するガス量は大きく変動します。

画像:季節、時間による変動を表した図

画像:コントロールセンター港工場にある製造監視システムは都市ガスの製造量を調整し、常に安定した状態でお客さまにガスを供給する体制を構築しています。また、製造管理のほか、構内全体の保安状況も24時間体制で監視しています。

 

 

ローリー出荷設備

ローリー出荷設備とは、LNGをタンクローリー車へ積込む施設です。港工場には出荷設備が3箇所あり、ガス局の供給区域から離れたお客さまには、港工場で受け入れたLNGをタンクローリーで出荷しています。離れた各地にもお届けすることで、クリーンエネルギー天然ガスの普及拡大に努めています。

画像:LNG出荷設備、タンクローリー車

ページ先頭へ

ガスのおはなし

Kids